第1章 現代
後ろ髪を引かれるような気持ちで京都入りした。
佐助君が予約してくれていたホテルは、本能寺跡地からほど近い場所で……
チェックインする時に、ちょうど佐助君とロビーで会った。
「久しぶり!」
「あぁ、きょうこさん!なんだか不思議な感じだな」
佐助君がお互いの服を交互に見ている。
「ふふ、ほんとだね」
「荷物を置いたら、明日の打ち合わせを兼ねて近くの店に晩御飯を食べに行こう」
「わかった、後でね」
「あぁ」
ロビーで別れると、シンプルな造りの部屋に荷物をポンと置いた。
荷物は……数日分の着替えがほとんどで……
いいのかな……本当にこれだけで……
それにお金のことだって。きっと沢山、必要なはずなのに、佐助君に尋ねても
「君は心配しなくていい。必要な物はいつでも言ってくれ」
なんて言うだけだし……
まぁ、後で色々聞いてみようかな……
私は支度を整えすぐにロビーに降りると、佐助君が待っていてくれて、二人で近くのファミリーレストランに行った。
そして、明日からの事をもう一度、確認して……
「眠れないかも知れないけど……遅刻は厳禁だから、しっかりと眠ってくれ」
「絶対にしないからっ!」
なんて軽口で別れた。
きっと私が緊張しないように、気を使ってくれている佐助君。
私は戦国の時代で、愛する人を見つけただけじゃない、大切な仲間も見つけたんだ……
きっと幸村も、謙信様も待っている……
信玄様が治ることを……