第7章 甲府
電車を乗り換え、目的地に着くとレンタカーを借りる。
「佐助が運転するのかい?」
「……はい」
ん?佐助君なんだか、いつもより歯切れが悪いなぁ……?
「一度、ここに座ってみたかったんだ、いいか?」
助手席のドアを開ける信玄様。
そうかータクシーだといつも後部座席だもんね。
「もちろんですよ!」
私が笑顔でこたえると
「シートベルト……確りして下さい」
佐助君が、言った。
そして……
「行きますよ……」
車は……
いきなり大きな音をたてて、発進した!!!
そして、すかさず急ブレーキ!!!
「…………」
無言で前を見つめたまま、運転する佐助君……
そして
無言になった、信玄様……
「あの~佐助君、良かったら運転……変わろうか?」
後ろから、そっと声をかけた。
すると佐助君は前をまっすぐに見たまま
「お願いするよ……」
そのまま少し車を走らせてから、路肩に車を停めて無事運転を交代した。