第6章 求婚
「さ、次は一緒に“どれす”を選ぼうか?ここは、種類が多いそうだよ」
笑顔の信玄様。
今の私には、涙は似合わない。
ずっと笑顔でいるんだ!
「はい!」
私は元気に返事をすると、二人手を繋いでドレスを選びに行った。
だけど……次々と信玄様が選ぶドレスは……
セクシーな物が多くて……断りきれなくて……
一度だけ胸元の大きく開いたドレスを着たんだけど……
信玄様にチラリと見せた瞬間
「……こんな姿を佐助には見せたくない」
なんて言って、珍しく顔を真っ赤にしてぼそっと呟いた。
その後は、胸元の詰まったドレスを選ぶんだけど……それもまた
「きょうこの華やかさが活かされていないな……」
私よりも真剣に選んでくれている、信玄様だったけど、とうとう……
「きょうこ……すまない、俺にはとてもじゃないけど決められない」
初めて見る表情ばかりの信玄様に、私と佐助君も笑いが止まらない。
「じゃあ……自分で選ぶので、スタジオで待っていて下さいね」
「……わかった。楽しみにしておくよ」
不本意そうな顔を浮かべていたけど、、、
私が選んだドレスを着て、綺麗にメイクをしてもらいスタジオに入ると……
薄いグレーのタキシードに身を包んだ信玄様が、こちらを見て立っている。
雰囲気だけのはずのスタジオなのに
まるで本当の教会に立っているみたいで……
神聖な雰囲気を纏う信玄様に
思わず息を飲んだ……