第6章 求婚
そして……
ポケットから小さな箱を取り出し、
パカッと開ける
「きょうこ、俺と結婚してほしい。これからも、ずっと俺の隣にいてくれないか?」
箱の中身は、キラキラと光る大粒のダイヤモンド……
びっくりし過ぎて口を押さえ、声の出ない私に
信玄様から声がかかる
「きょうこ?」
「ま、まさかこんな用意をしてくれているなんて……私……知らなくて……」
「まぁ、秘密裏に進めていたからなー」
楽しそうに笑う信玄様。そして
「きょうこ、“ぷろぽーず”の返事は?」
そんなの答えは決まっている!
「もちろんです!信玄様っ!ずっとお傍にいさせて下さい!」
私の返事を聞いて嬉しそうに笑った信玄様は、私の手をとると
キラキラと光るダイヤの指輪をはめてくれた。
そしてピンクに染まった頬にキスを落とす。
「きょうこと共に生きる事が、俺の一番の望みだ」
『生きる』
その言葉を聞いて、涙が出そうになった。
初めて会った時から、どこか世捨人のような雰囲気を纏っていた信玄様。
それは長い間患った病気のせいなんだけど……
それを克服した今。その言葉を信玄様から聞けた事に心が震えた。