第4章 手術
説明を聞いた後、信玄様のいる病室に向かって歩いていると、佐助君が口を開いた。
「信玄様に頼まれていたんだ」
「え?」
「どんな物が身体の中にあったのか、見たいって」
「そ、そうなんだ……」
そんなものなのかな?私だったら見たくないけど……
「術後は必ず、取り除いた患部を見せることになっているんだ。まぁ、あまり気分のいい物じゃないけどね」
「うん……でも、ほんと、良かったよね」
「あぁ。大丈夫だと信じてはいたけどね、無事に終わるまではやっぱりドキドキしたよ」
「佐助君も?」
「あぁ、もちろんだ」
そうか、あんまり表情に出ないだけで、不安は皆一緒だったんだよね。
「謙信様や幸村にも、早く伝えたいなー」
「だな」
そんな話をしていたら、病室に着いた。
部屋に入ると看護師が
「もうそろそろ、麻酔が切れて目が覚める頃なんですけどね……」
「え?」
ドキッとした。
信玄様の顔を見ると、静かに眠っているようで……
このまま、目が覚めなかったら……
なんて不安が渦巻いた時、
「きょうこさん。信玄様は現代の薬に耐性が全くないから、よく効いているだけだよ」
佐助君のその言葉に、はっとした。
「そうだよね……」
なんでもない点滴が凄く効いたりしていた事を思うと、その意見は間違いないと思う。
だけど、、、
私はベッドの横に跪くと信玄様の手をとり、祈るように握りしめた。