第4章 手術
その後も、他愛ない話をしていると、看護師さんから声がかかる。
「武田様、もうすぐ手術が終わりますよ」
時計をバッと見た。
予定よりも少し早い時間に終わっている!
「胸腔鏡手術で間に合ったそうですよ」
看護師さんも、ニッコリと微笑んでくれる。
「もうすぐお部屋に戻って来られますが、その前にこちらへどうぞ」
なぜか手術室近くの別室に案内される。
そして佐助君と二人、座って待っていると、主治医の先生が入ってきた。
「手術、無事成功しましたよ」
思わず佐助君の顔を見ると、佐助君の顔もホッとしたように綻んでいる!
「ありがとうございました!!!」
すぐに二人で頭を下げた。
「今はまだ、麻酔が効いていますので、その間にこれを……」
するとすぐに、別の先生が何かをトレーに乗せて入ってきた。
…………
まさか、これ……
「取り出した腫瘍です」
生々しい、血の付いた肉の塊のような物が、目の前のテーブルに置かれた。
「全て綺麗に取り除きました。ガン化もしていないようです。まぁ、想定よりも少し大きいので驚きましたがね」
「…………」
これが……ずっと信玄様を苦しめていた原因なのか……そう思うと見た目のグロテスクさよりも、なんだか怒りか安堵か……訳のわからない感情が込み上げてきたその時……
パシャ、パシャ、
「へ?」
その音がした方……思わず佐助君の方に振り向くと
「あの、これ角度も変えて貰っていいですか?」
「あぁ、いいですよ。開きましょうか?」
ひ、開く!?
「ぜひ!お願いします!」
…………
佐助君がグラビア撮影ばりに、シャッターを切りまくっていた。
グラビア撮影したことないけどね…………