第4章 手術
「いいの?」
「あぁ……まぁ、正直、最初戻ってきた時は決めかねてた」
「……」
そうだよね。あんな物騒な世の中に戻る理由なんて、早々ないよね。
だけど……
「信玄様が俺の事も、もちろんきょうこさんの事も信用して待っていてくれて……
こっちに来てからだってそうだ。俺たちの事を心から信用してるから、不安も泣き言一つも言わないんだ。
まぁ、戦国時代に戻れば、俺の主君は謙信様なんだけどね。今回の事、謙信様だったとしても、きっと同じだ。あんな立派な人達と生涯を過ごせるなんて、きっともうないよ。
おっと、幸村もだな。あいつとは、ずっ友だから」
「うん……そうだね……」
一気に捲し立てて珍しく饒舌になった佐助君に、彼の本気を感じて……言葉が出なかった。
「きょうこさん……泣きながら笑うのは止めてくれないか?」
佐助君の手が、頬に伸びてきた。
「あれ?ごめん、なんだか嬉しくて」
そして、私の頬に伝った涙を、そっと拭ってくれた。
「こんな場面を見られたら、俺が信玄様に叱られてしまう」
「ふふ……」
「戻っても研究は続けようと思っている」
「出来るの?」
「あぁ。もちろんだ。それに……後継者も、、、」
後継者?
私が首を傾げていると
「まぁ、そのうち説明するよ。きっと君たちにも喜んで貰える結果になるはずだ」
「うん。楽しみに待ってるね」
佐助君はハッキリとした事以外、あまり口にしたくないみたいで、私はその時を待つことにした。