第4章 手術
「あぁ、やっぱり外の空気は旨いな。そんなこと感じた事などなかったのに」
「そうですね」
病院の庭は本当に広くて、散歩コースを巡るだけでもけっこうな時間がかかる。
「花が見事だな。こんなにも色々な種類があるんだなー」
「外国からも色々な種類が入ってきたり、品種を改良したりしていますから」
「そうか……沢山の物に溢れているからかな……とても美しいんだが……風情がないなー……」
そう!それだ!私も現代に戻って来てから感じていた違和感。
ここは確かに日本なんだけど、らしさと言うか、そう風情がないの!
私が黙ってうんうん頷いていたからか、
「俺にはこの花が一番なんだが……」
そう言って私の腰を引き寄せ、頬にキスをしてくれるた。
いつでもどこでも、キスをしてくるから……顔が赤くなることは少くなった。
看護師さん達の前でも、遠慮なくキスをしてくる信玄様には、流石に恥ずかしかったけど……
常に愛情表現を欠かさない信玄様が、私も愛しくて仕方がない。
だけど私は……信玄様みたいに表現できないんだけどね。それでも、私だって気持ちを伝えたい。
「いつだって、信玄様のいる場所が私の居場所ですよ」
「きょうこ……」
嬉しそうに頬笑む信玄様。
「そんな愛らしい事を言ったら、夜まで待てないじゃないか……」
ギュッと抱き締めてくる!!!
「だ、ダメですよ!!!明日、手術なんですからねっ!今夜は大人しくしていて下さいっ!!!」
「そうかー残念だなーーー」
そんな軽口を言って、また病室に戻った。