第4章 手術
すぐに手術の日が決まった。
信玄様の体力の回復が著しかったのもあるけど……
やっぱり早急に手術した方がいい病状なのは、変わらない。
今度は手術前の検査が続く。
その度に、沢山の書類にサインをする。
「この横書きの“さいん”にも慣れてきたなー」
「ふふ、ほんとですね」
私達はゆっくりとコーヒーを飲みながら、サインをしている。
特に制限もないから、こちらに来てから食事は信玄様の楽しみになっているようだ。
それにしても……特に何も、、、そう。文句も不安も口にしないんだよね……信玄様。
あんな広々とした空の下にいたんだから、きっと外の空気も恋しいだろうし……
不安なんて言ったら、きっと積もるほどあると思う。
なのに……
「きょうこ、すまないね。ずっとこんな物ばかり見て……本当はもっと君と話していたいんだが……」
いつも私の事を気にかけてくれる。
「ふふ、大丈夫ですよ。だけど……後で少し、庭に行きませんか?今日はいい天気だから」
「あぁ。もちろんだよ」
そう言って、私の頭にキスを落とす信玄様。
実はあの日からずっと時間があると、タブレットを見ては何かを調べたりしているみたいで……
覗き込むのもどうかと思って、私もその間に、天然酵母の事や、戦国時代にある食材で出来る料理のレパートリーを増やそうと、調べたりしていた。