第3章 買物
「だけどね、幸か不幸か、戦国時代の本当の事はあまり詳しく残っていないんだ。
だから今、俺達が習ってきている情報自体、何処から何処までが本当なのか怪しい物も多くある」
「そうなんだ……」
「だから信玄様には、ここに書いてある歴史と大きく変わらないようにして頂く必要があるんだ」
過去が大きく変わってしまったら、今ある未来も大きく変わる可能性がある、ってことなんだよね……
「まぁ、今のところ、大きな変化はないみたいなんだけどね。さっき買った本を少し読んで見たら、謙信様も俺が学んだ時と同じ時期に亡くなった事になってある」
確かに……謙信様の命を佐助君が救ったはずだから、歴史が変わっていてもおかしくない。
ずっと黙って聞いていた信玄様が、私の手をギュッと握ってきて……
「大丈夫だ、きょうこ。情報操作は、俺が一番得意とする分野だ」
そう言って、パチンとウィンクをしてきた!
信玄様は真っ赤になった私の頬を、そっと撫でると
「だろ?佐助?」
「はい。信玄様なら安心してお任せ出来ます。ですが……」
「ん?なんだ?」