第3章 買物
そのあと、信玄様は本の中身は読まないでパラパラと捲っている。
「読まないんですか?」
「あぁ、字があまりよくわからないのと……俺が読んでもいい物なのかどうか……迷っているんだよ」
そうか、確かにカタカナも多いし、先の未来を知って歴史が変わるのも困る。
だけど佐助君は
「簡単な戦国時代の本を一冊買っておきます。あと、信玄様はこちらに……きょうこさん、君は欲しい本を選んでいてくれ」
「でも、歴史の本……そんな子供向けのでいいの?」
「あぁ、一番簡潔に纏まっているんだ。専門的な物になると、情報量が多すぎからね」
「そうだね、子供向けだから解りやすく簡単に書いてあるもんね。あ、じゃあ私は向こうでちょっと見てくるね」
私は軽く手を振って二人と別れると、料理本のコーナーに行った。
朝、パンを美味しい美味しいと食べていた信玄様に、戦国時代に戻っても作れないかなーなんて、思ったからだ。
果物から天然酵母を作ったり……小麦粉はなくても、米粉でパンを作ったり出来るんじゃないかなぁ……
そして数冊の本を選ぶと、また二人と合流して、少し遅めの昼食をとりに行った。