第3章 買物
信玄様を検査に送り出してから、一人悶々と考えていると、ノックの音とともに、部屋のドアが開く。
「おはよう、きょうこさん」
「あ、おはよう!佐助君!」
「信玄様の体調はどお?」
「食欲もあるし、時々苦しそうに咳はするけど、大分落ち着いてるよ」
「そう、良かった。さっき看護師長に聞いたら、少しなら外出もいいって。昼から、近くのショッピングモールに行ってみよう」
「うん!私も欲しい物があるんだー」
「何?」
「ちょっと……本が欲しいなぁーと」
「そう。丁度良かったよ、俺も本屋に用があるんだ」
そんな話をしていると……
「おっ、佐助。来てたのかー」
ガチャリとドアが開いて、信玄様が入って来た。
「お疲れ様でした」
「お邪魔してます」
私達の声に信玄様はニコリと笑う。
「検査どうでしたか?」
「あーーずっと寝転がっていたり、立っているだけでいいんだなー」
「ふふ、そうですね」
「退屈だったんですね?」
佐助君がそう言うと、
「そうなんだよーなんだか物足りなくてなー」
少し困った顔で答える信玄様。
「信玄様はご病気なんですから……ですが……」
佐助君が提案する
「手術をする前に、少し出掛けましょうか?病院の許可は取ってきました」
「良かったよ、このままじゃ病気を治す前に身体が鈍って倒れてしまいそうだったよ」
今度は満面の笑みだ!よっぽど退屈だったんだなぁ~
昨夜も思ったけど……戦国時代の人の体力……恐るべしだな……
私は二人のやりとりを、笑いながら見ていた。