第3章 買物
服を着て信玄様の横に行くと、
「これはどうやって食べるんだい?」
焼き立てのパンに興味津々の信玄様。
「このままでも食べることが出来ますし、、、これを塗っても美味しいんですよ」
私はジャムを差し出した。
「これは、、、凄く甘い匂いがするなー」
くんくんと匂いを嗅ぐ信玄様
「ふふ。これは、果物を甘く煮た物なんですよ。少しずつこのパンに乗せ、、、あっ」
信玄様はスプーンで掬って、パンにたっぷりと塗り付けてかじりついた!
あーー!そんなに沢山乗せたら、甘過ぎ……
「旨いなぁーーーこれ一つぐらい、すぐに無くなりそうだなー」
なんて小さな瓶を持って嬉しそうに、モグモグと食べている……
さ!さすが甘党……だな……
「この柔らかい物は何だい?蒸した饅頭よりも旨いなー」
「これはパンと言います。沢山の種類があるんですよ」
「そうかーこの時代は、こんなに色々な物が溢れているんだなー」
ぐるりと部屋を見渡す信玄様。
「あの箱にも驚かされたよ」
テレビを見て笑っている。
確かに、この決して広くない部屋には色々な物がたくさんある。
テレビ、冷蔵庫、ベッド、ソファー、テーブル……一つずつ挙げるとキリがない。
「こんなに恵まれた時代から、突然あんな時代に来たら……色々と戸惑う事も多かっただろう?」
そっと手を握って聞いてくれる信玄様。
私はその手を握り返すと
「はい。でも、かけがえのない物を手に入れる事が出来ましたよ?」
信玄様の目を見て微笑んだ。
「そうだなー君はやっぱり俺には天女だな……」
そう言って顔を近付けてくる信玄様。
いつもの甘い口付けは、ジャムのせいか
いつも以上に甘かった。