第2章 病院
「じゃあ、俺はこの辺で。信玄様はあまり無茶はされないように」
少しだけ佐助君の口角があがる。
「あぁ、解っているよ」
なんて、信玄様もニコリと頬笑む。
私がそんな二人のやりとりを見ていると、佐助君はあっさりと手を上げて
「この書類は出しておくよ」
なんて言って、部屋を出て行った。
パタンとドアが閉まると……
あれ?そうか……二人っきりに……
チラリと信玄様を見ると、もう食べ終わっている。
「あ、おかわりは?」
「いや、いい。それよりも少し甘味をもらおうか」
「あ、佐助君が置いていってくれた……」
お菓子を取ろうとソファから立ち上がろうとしたら、グイッと手を引かれ、気づくと信玄様の腕の中に私がいる!?
「あ、あの……お菓子を……」
「こっちの甘味の方が、魅力的だからなー……」
なんて、私の頬に手を添える。
そして
「会いたかったよ……きょうこ……」
甘味よりも甘い、甘い……信玄様の声……
そしてもっと……特別に甘い瞳と唇が近付いてくる。
私がそっと目を閉じると、唇が触れ合った。
その時、私の目から涙が零れた。
「私も……会いたかったです。信玄様……無事で良かった……」
「泣かせて悪かった……もっとその愛らしい顔をよく見せておくれ……」
だけど顔を見るよりも、二人の唇が重なりあう
何度も何度も角度を変えて……