第2章 病院
「では他に聞きたい事は……」
「いえ、ありがとうございました」
今度は信玄様が、頭を下げて話を終わらせた。
「そうですか、また何かあれは遠慮なく仰って下さい。それと明日からの検査の予定は、また後でお部屋に説明に伺いますので。
とにかく、早く体力を回復しましょう。食事はとれそうですか?」
「はい。いやーもう腹が減って、減って」
にこやかに答える信玄様を見て
お医者さんもニッコリと笑い
「それは良かった、食事の制限はありませんから、お好きな物を召し上がって下さい」
「はい」
三人で顔をあわせて微笑みあうと、佐助君が
「あれ?きょうこさん、顔が……」
……さっきのウインクで、真っ赤になった顔を指摘してきた。
「大丈夫だ佐助。きょうこはいつもと変わらない」
そう言って、今度は指を絡めてくる……
もうそれだけで、顔がまた赤く……
「はいはい。じゃあ、とりあえず部屋に戻りましょうか」
佐助君が立ち上がり、信玄様は私の手をぐっと引いて立ち上がらせてくれると、腰に手を回してきた……
う、嬉しいけど……て、照れる……
すると佐助君が
「信玄様、すっかり通常運転だね」
と私の耳元で囁いてきた。
たしかに……
「ふふ、そうだね」
そうか……そう考えると、なんだか甘い仕草の信玄様も照れずに受け入れる事ができる気がした。
「何が食べれそうですか?やっぱり、お粥から……?」
私の質問に
「いや、もうそれは食べ飽きたからなー」
なんて答える信玄様。
「お腹に優しいものがいいですよ?」
「まぁ、煮魚と白い飯ぐらなら大丈夫じゃないかな?」
佐助君が助け船を出した。それを聞いた信玄様が嬉しそうに
「そうだろ?佐助、あとは……」
「甘い物なら、用意してありますよ」
「流石だなー」
私は二人のやりとりを、嬉しくてじっと見つめていた。