第2章 病院
「肺腫瘍ですね」
CT画像やレントゲンを見ながら、お医者様が説明をしてくれる。
「かなり大きくなっていて、本来なら手術も難しいところですが……
一流のチームを揃えますので、安心して下さい」
信玄様は言葉の意味がわからないだろうけど、じっと耳を傾けて真剣に聞いている。
「直ぐにでも手術をしたいところですが、体力がかなり落ちているようなので……
体力が回復次第、直ぐに手術できるように手配しましょう。それまでの間に、またいくつかの検査を受けて頂きます」
そこまで黙って聞いていた佐助君が口を開いた。
「あの、癌の可能性は……」
「今の検査だけでは、ハッキリとしたことは言えませんが、とりあえずは見当たりません。ですが手術をして初めて判る場合もあるので……」
「そうですか……」
「ベストを尽くしますよ」
「はい。よろしくお願いします」
佐助君が頭を下げると、ずっと黙って聞いていた信玄様と私も、
「よろしくお願い致します」
と、頭を下げた。
「何か他に、ご質問はありますか?」
「手術の方法は?」
もう一度佐助君が口を開いた。
「胸腔鏡手術でギリギリ行けると思います」
「あの……それは一体どのような物なんですか?」
それだけじゃ分かりに難いよね。私も聞いてみた。
するとお医者様は機械の写真をラミネート加工した物を使って簡単に説明してくれる。
チラリと信玄様の横顔を見てみると、意味が解らないだろうけど、やっぱり真剣に聞いている。
思わずずっと握っていた信玄様の手を、もう一度、ギュッと握ると、
信玄様はチラリとこちらを見て、、、
パチンとウインクしてきた!?