第2章 病院
案内された病室も一見シンプルな造りなんだけど、もちろん豪華で……畳スペースもお風呂もトイレも、ミニキッチンまで付いている……
「ほ、ほんとに凄いね」
「あぁ……」
二人、向かい合わせでソファに座り話していると、病室のドアが開いた。
そこには……
「きょうこ、佐助」
車イスに乗った信玄様が入ってきた。
腕には点滴の針が入っていて……
だけど、心なしか顔色はさっきよりもずいぶんとマシになっているようだ。
「歩けると言ったんだけどなー」
そう言って笑っている。
よ、良かった……
その様子を見て私がホッとしていると
「ここ数日、食事があまりとれていらっしゃらなくて、点滴で少し落ち着かれたようですよ」
ニッコリと笑って、車イスを押していた看護師が教えてくれた。
「こちらにどうぞ、」
佐助君が信玄様をベッドに促すと
「いや、大丈夫だ。こっちで……」
そう言うと、さっと立って私のすぐ横に腰をかけた。
その動きを見て、私と佐助君がまた、ホッと胸を撫で下ろす。
「検査結果が出たら診察ですので、また、声をおかけしますね。それまでに、こちらの書類に目を通しておいて頂けますか?後で説明に参りますので、サインをお願いします」
「はい」
私が書類を受けとると、看護師さんは部屋を出て行った。すぐに受け取った書類をテーブルに置くと
「信玄様っ!お顔の色が大分良くなってますよ!」
そう言って私は、信玄様の手を握って微笑んだ。