第14章 ~おまけ話~ 甲斐の国
「ビニールが焼けた臭いかも……」
私が呟いた。
「びに……?」
この時代の人は皆、物をとても大切に扱うから、本に付いていたビニールの帯なんかも、ちゃんととってあって、それも全部、火の中に入れたからなんだけど
「あそこで、ドロドロと溶けていってる物なんだけど……」
「なんか体に悪そうな臭いがすんな」
政宗も話に入ってくる。
「うん……たぶん、これはもう有害物質は出ない物だとは思うんだけど……」
「“有害物質”そんな言葉が在るのか?」
信長様が尋ねる。
「ねぇ、“もう”ってことは以前は……」
その質問は家康だ。
「そうなの……色々な新しい物が作られて……身体に良い物や、危険な物もたくさん……」
「……」
皆が神妙な顔付きで聞いている。
「本当に未来に繋げて良かったのか?」
幸村が、投げ入れていた手を止めた。
皆が、私と信玄様の顔を見ると
「きょうこの住む……俺達が繋げた世は悪いばかりじゃないんだ。
今なら簡単に死ぬような病も、小さな針と薬で治したり……それに……」
少し言葉を選んで話す信玄様に割って入ったのが信長様。
「きょうこのように、何も危機感を持たずに生きている人間が多いのは、世が泰平だからだろう?」
「まぁ、端的に言うとそういうことだ!」
皆が、どっ!と笑った。
「そうだな!この俺達の苦労がいつしか、報われるんだ!」
「俺もやりますよ!きっちり、やり遂げます!」
政宗と家康の頼もしい声が聞こえた。
「まぁー、俺達はいずれ家康の裏方に回るからなぁ、三成!」
「はい!秀吉様と共に家康様の支えになれることに大変喜びを感じています!」
「……いや、お前は感じなくていい」
家康と三成くんは、やっぱり相変わらずで
「俺も今まで以上に活躍出来そうだ」
光秀さんが、ニヤリと笑っている。