第14章 ~おまけ話~ 甲斐の国
「えっと、信長様、この金平糖凄くキレイな色ですよね?」
これ以上、光秀さんにからかわれるのがイヤで、話をそらした。
「あぁ。旨いだろう?それは俺が直接 買ってきた物だ。」
「ん?」
「海の向こうで、お前にと思って買ってきた物だ」
「えっと……信長様、今は何をされているのですか?」
「葡萄牙に住んでいる」
「へ?」
「Portugal……ポルトガルだ」
「えええっ!?」
「ほら、これもやろう」
信長様が袖の下から、ポンッと小さな包みを出して私の手の上に乗せた。
「ボウロだ」
「うわー!懐かしい!子供の頃、好きだったんですよーって、それより!信長様、ポルトガルに住んでるんですか!?」
「あぁ。3日ほど前に、こちらに戻ってきた」
……この時代に海を渡るのって、確か、なかなか命懸けだったような気が……
「武田。貴様は500年先の日の本を見たようだが、俺はこの足で海の向こうの地を踏んで来たぞ」
「ほぅ……そうか……」
あーーーまた、信玄様と信長様が睨みあってるーーー……
ちらりと光秀さんを見ると、どこ吹く風のように飄々と相変わらず澄ましている……
心の中で大きなため息をつくと、光秀さんが此方を見た。
「どうした?」
……
「えー……っと、光秀さんは今は何を……」
「本当に聞きたいのか?」
ニヤリと笑う口元。いや、光秀さんっ!目が笑ってませんよっ!!!