第13章 再会 ~本編完結~
最後のページ……
長い、長い日記を素早く捲り、信玄君からのメッセージを探す。
「あ……」
辿り着いた最後のページには
3年前、我が家で書いてくれたサインと同じような文字が書かれてあった。
あまりの達筆で読むのに苦労していると、きょうこによく似たお嬢さんが
「私は全く読めなくて……調べたんですよ。私の訳でもいいですか?」
「あ、あぁ……もちろんです。知識が乏しくてお恥ずかしい」
私が照れて頭を掻くと
「そんなことありませんよ」
と、やはり きょうこ に良く似た顔で笑ってくれる。そして
「簡単にですが……」
と、内容を教えてくれた。
『お父さん、お母さん、お兄さんへ
ご無沙汰しております。私達が突然現れた際にも大変親切にして頂き、ありがとうございました。
お陰様で、私ときょうこは甲斐の国を建て直す事ができました。
色々な事がありましたが、全てきょうこがこの日記に綴っております。
亡くなる前日まで、毎日書いておりました。
私の方が年も上で、病を患っていたにも拘わらず、まさかきょうこよりも長く生きるとは、夢にも思いませんでした。
ですが、この命もさほど永くはないようです。
ここにどうしても伝えておきたかった事を、書き記します。
お父さん、貴方との歴史を変えないと言う約束、一つだけ守る事が出来ませんでした。
私はきょうこだけを、生涯を掛け愛し抜きました。
少しばかり歴史を変えてしまうかも知れませんが……出来の悪い息子だと、笑って頂けたらと存じます。
最後にこれを手に取り読んで下さると信じて、一言
「ただいま帰りました」
武田信玄
きょうこ』