第13章 再会 ~本編完結~
「あれも持って来てくれないか?」
「はい」
当主の息子さんとお嬢さんが応接室をさっと出て行くと、すぐに息子さんだけが戻ってきた。
そして
「これをどうぞ、これらも数年前に発見された物なんです」
重厚そうな箱の蓋を開けると、中から分厚いノートとアルバムのような物が出てきた。
白い手袋を渡され、私達はそれを手に嵌め、私はノート、妻はアルバムをそれぞれ手に取った。
ノートを捲るとそこには、見慣れた文字があった。
少し丸い、でもキレイな読みやすい文字で綴られた
きょうこの日記だった。
「母さん、これ……」
妻の方を振り向くと、またボロボロと泣いている。そして私の息子が
「これ……チェキだ……」
「チェキ……?」
「あぁ、きょうこが高校生の時に、初任給で買ってやったんだ……まさかそれを……?」
「お父さん、見て……ほら、きょうこに信玄君……あと、佐助君もいるわ……」
それは、インスタントカメラで撮った小さな写真で……
どうやら記念日や行事、他にも毎年一枚ずつ撮られているようだった。
「ほら、横に子供の名前が書いてある」
「こんなに、たくさん産んだのね……」
1ページづつ捲ると、子供の成長と共に、きょうこと信玄君の2人のシワが増え、そのシワが深くなり、そして、2人の孫なんだろう……また、小さな子供を抱いている写真がそこにはあった。
最後のページは、きょうこと信玄君の2人が顔を寄せ合い仲睦まじく写っていた。
「日記には……」
その声に振り向くと、いつのまにかお嬢さんが紅茶とケーキを用意し、私達の前に置きながら話しかけてくる。
「最後に、信玄公からのメッセージが書いてありましたよ」