第13章 再会 ~本編完結~
「失礼しました。次期当主の息子と、その妹でして……」
現当主が頭を下げるが……
それと同時に妻が、目から大粒の涙を溢し……
「きょうこ……信玄君……」
呟いた。
「やっぱり似ていますよね?このアルバムの2人に……」
次期当主だと言う息子が、少し古くなったアルバムを私の前に差し出しながら声をかけてきた。
「数年前に……蔵の奥の奥から出てきたんです。だからかな、あまり色も褪せていないでしょう?」
きょうこの高校生時代にそっくりな妹が、声を被せる。
「あぁ……そうです。そうです。2人に、本当に2人に……そっくりだ……」
「声も似ているよね?きょうこと信玄君に」
「そうね……2人とも少し若くした感じかしら…………う……」
妻が涙声でそう言うと、きょうこによく似たお嬢さんが近寄ってきて、そっと妻の背中を擦ってくれる。
「思い出させてしまって……ごめんなさい……」
「ちが……」
どうやら妻は否定したいようだが、声になっていない。
その姿を見ていると、私の息子がそっと小さなタオルを渡してきた。
「え……?」
「父さんも……」
気づかぬうちに、私の目からも大粒の涙が一粒……溢れていた。