第12章 謀~ハカリゴト~
「聞くだけ聞いてやる」
「お前のその傲慢さが赦せないんたがな」
信玄様が怒りを露にしている。
信長様も業と煽ってるんだよね……
打ち解けたら、きっと凄く仲良くなれると思うんだけどな……
まぁ、それは無理か……
だけど……
「これを見てくれ」
信玄様は懐から、数冊の歴史本を出した。
「なんだこれは」
信長様が手に取ると、ずっと黙って様子を見ていた光秀さんにも視線を送る。
「信長様の名が書かれています」
パラパラと光秀さんが、本を捲っている。
「それは、きょうこの世の“本”と言うもので、俺達の事が書かれてある」
信玄様の言葉を黙って聞く信長様と光秀さんは、本から目を外さない。
そして
「これが俺か?」
所謂、自画像的な感じでどの教科書にも載っている、信長様の絵を指差した。
「秀吉も家康も……酷い物だな……くっくっくっ……」
「まぁ、それはさほど変わらんだろう」
クツクツと笑いだす光秀さんに、なかなか酷いツッコミを入れる信長様。
だけど
「本能寺の変……」
2人の本を捲る指が、そこでピタリと止まった。
「武田。これらを持って、ここを訪れた訳をもっと詳しく話せ」
「あぁ」