第11章 戦国時代
馬を駆け、安土城に着いたのは、私達がタイムスリップした翌朝だった……
門番は私の顔を見るなり
「きょうこ姫様!!!よくぞ、ご無事で!!!」
それはもう今にも泣き出しそうな顔をして、すぐに私達を城の中に入れようとしてくれたんだけど……
「きょうこっ!!!」
中からすぐに、秀吉さんが走ってきた。
そして私を抱き締め
「今まで何処にいたんだ!!!どうして便りも寄越さなかった!!!なんだ、その出で立ちは!?」
矢継ぎ早に質問を繰り出し、その返事に困っていると
「敵の大将と一緒だったとはな」
腕を組みながら、ゆったりとした足取りで光秀さんも城門までやって来た。
「お前でもその様に慌てたりするんだな。だが、きょうこは俺の手に返して貰おう」
黙って私達の様子を見ていた信玄様が、私の腰を抱え、自分に引き寄せた。
「何……?」
秀吉さんが今度は刀に手をかける。
「ま、待って下さい!!!」
「どう言う事だきょうこ」
秀吉さんは信玄様を睨みつけたまま、私に声を掛けてくる。
「あ、あの……色々とその……一度には話せない事情があって……信長様にお会いしたくて……」
「入れ。天主で待っておられる」
そう言ったのは、光秀さん。その横で秀吉さんも、刀から手を離さずに私達を見ている。
「信長様なら、ずっと上から眺めていた。すぐにお前だと気付いておられたぞ、きょうこ……」
ニヤリと笑う光秀さんの後を着いて、私と信玄様、そして佐助君は信長様の待つ天主に向かった。
その私達の後ろは、ずっと殺気を消さないままの秀吉さんが着いて来ていた。