第11章 戦国時代
…………
な、なんだか話が難し過ぎて、ついていけないな……
一人、ちびちびと舐めるようにウィスキーを呑んでいると。
「俺ときょうこは今から安土に向かう。馬はあるな?幸村」
「はい。黒雲を」
「はは、ここまで連れてくるのに、手こずっただろう?」
「まぁ……」
うーん、負けず嫌いの幸村が認めるくらいだから、よっぽどだったんだろうなー
「助かったよ。では、発つぞ。
佐助は暫し借りる」
それを聞いて謙信様は、大きく頷き
いつの間にか忍者装束に着替えた佐助が立ち上がる。
「え?今からですか?」
キョトンとした私の手を信玄様が引っ張って、立たせてくれる。
「あぁ、早い方がいいだろう。馬に乗るし、きょうこはそのままの装束で行こう」
信玄様は戻ってすぐに、いつもの着物に着替えていたんだけど、私は現代から着たままの、ジーンズを履いていた。
「その方が動きやすいからなー」
「そうですけど……でも、安土に行くのは……」
私は時期を見て、必ず信長様に会いに行こうと決めていた。だけど、信玄様は……あんなに敵対していたのに……
不安そうな顔の私に信玄様は
「俺にもきょうこにも、それに……
未来に繋げるために……必ず会わなければ行けない相手だからなー」
「……」
そうだよね。わかってる。だけど……本当に大丈夫かな……
黙って消えてしまった私の事……信長様達はどんな風に思っているのかな……
下を向いて考えこんでいると
「その腕の中にある物も、渡さないといけないだろう?」
「!!!信玄様……気づいてたんですか?……」
「きょうこの事はお見通しだ。さぁ、少しでも早くここを発とう。“電車”なんて言う移動手段はないからな」
笑いながら話し掛けてくれる信玄様。
あぁ、そうだ。
私はこの笑顔を手に入れたんだ。そんな私に怖いものなんてもうない!!!
「はい!」
私は信玄様の手を強く握り返した。