第11章 戦国時代
久しぶりに3人で顔を合わせ、現代での話を少しした後、帰ってからの話をしたかったのに、
「その話は、これからいつでも出来るからなー今はこの時間を楽しもう」
なんて言うから、佐助君が現代にいる間、何をしていたのかなんて話で盛り上がったまま……
今3人で
本能寺の跡の石碑の前に立っている。
空を見上げると、やっぱり雲1つない。星が少し煌めいている。
すると佐助君が
「大丈夫だ きょうこさん。もうすぐ嵐になるよ」
「……うん。だよね」
「それより、大切な物は胸に抱えていてくれるかい?」
「え?」
「腕にかけているだけじゃ、時空の歪みで離れ離れになってしまうかもしれないから」
「あー……そうだよね……」
そう言えば私と佐助君は同時に飛ばされたはずなのに、違う時間と場所に着いてたんだよね……
胸に抱いていたカバンは、そのまま私の手元にあったのに……
私は腕に提げていたバックをギュッと抱き締めた。
すると
「じゃあ、俺は……」
信玄様に後ろから強く抱き締められた。
「あ……」
後ろを振り返ると信玄様と目が合った。
「一番大事だからなー」
「ふふ、そうですね」
私も信玄様を抱き締め返したいけど、両手が塞がっている。
「大丈夫だ、離さない」
「……っ、はい!!!」
嬉しくて大きな返事をすると、ゴロゴロと空が不穏な音をたて始めた。
佐助君が
「来たようです」
その言葉を聞いた信玄様は大きく頷くと
「あぁ。お前も一緒だ」
そう言って片方の腕を広げ、佐助君も抱き締めた。
「はい!!!」
佐助君の嬉しそうな声が、私の耳の横でした。
すると佐助君も腕を広げ、私と信玄様を抱き締めている。
うん!これで絶対に3人一緒に帰れるはず!
と、思った瞬間……
私達は大きな靄に包まれていた……