第11章 戦国時代
私と信玄様は黙ったまま、2人、京都へ向かう電車に揺られている。
佐助君が予約してくれているホテルに着いた。
明日の早朝にまた、ワームホールが開くらしい。
だから前日に京都入りしたんだけど……
部屋に入ると信玄様は私の手をひき、ソファに座るよう促す。
隙間なく私の横に信玄様が座る。
そして、手を握りながら
「昨夜のお父さんとの話なんだが……」
信玄様が前を見ながら話し始めた。
「約束したんだ」
「はい……」
「きょうこと一緒に、お父さん達のような家族を作る、と」
「ふふ……ありがとうございます」
私の言葉に、ニコッと微笑む信玄様。
だけど直ぐにまた、前を向いた。
なんだかいつもと雰囲気が違うな……なんて思っていたら
「お父さんが……」
声を詰まらせる信玄様の目から……
ぽろり……と、
一筋の涙が溢れた……
「きょうこには辛い思いをさせる事があるかも知れないが、思い描く国を確り作ってくれ
私達はもう家族なんだから、帰る場所はここにも在ることを忘れないでくれ、って……仰って下さったんだ……
もう戻って来ることが出来ないかも知れないのに……それもお父さんは理解した上で……」
苦しそうに言葉を紡ぐ信玄様の手を、私はぎゅっと握り
「大丈夫です。信玄様なら、お父さんとの約束も、思いも必ず叶える事が出来ます」
「一番辛いのは、君だ……きょうこ……」
そう吐き出す信玄様が、一番辛そうな顔をしているのに……
私を守る、父との約束を守る、その事にきっと今は頭がいっぱいで
信玄様自身が気付いていない。
だけど……