第10章 実家
ま、まさか……
インターホンに出ると
『やぁ、きょうこさん、信玄様に呼ばれたんだけどいいかな?』
バッ!!!と信玄様の方を振り向くと、ニヤリと笑って
「“らいん”と言うのは、便利だな」
……い、いつの間に。
直ぐに使いこなす信玄様も凄いけど……佐助君の先読みも凄いよね……
謙信様が離さない訳もわかるわ……
佐助君が話に入ると、兄の歴史熱が再燃したのか、元々歴史好きの佐助君とずっと話をしている。
「ええっ!?上杉謙信の命を救って、仕えている!?真田幸村が親友!?えっ!?えっ!?」
佐助君もずっと誰にも話せなかったからか、それはもう得意気に話していて……
まぁ、盛り上がってるからいっか……
なんて思っていたら、兄が突然
「お前、徳川家康と一緒に住んでいたのか!?」
あー……そう言えばさっきは、信長様の話をチラッとしただけだったなー……
「うん。家康もいたよ」
「いえやすぅ!?なに、お前呼び捨てで呼んでんの!?嘘だろ!?」
「いや、ほんと。本人がそう呼べって……」
「くーーーーっ!マジかぁー!?後、誰に会ったんだよぉーーー」
「え、えっと……政宗、秀吉さん、三成くんに……あぁ……光秀さん……ぐらいかな?」
「光秀さんって、明智!?明智光秀か!?何、それ!?来年、大河じゃん!!!」
「あー、それでよく本屋さんで名前を見かけたんだね」
「きょうこ、お前……凄いな……」
「いや、私は何も凄くないけど……」
「……」「……」
黙って兄と見つめ合う。
「確かにそうだな」
「うん」
すると信玄様が
「いや、あんな戦乱の時代に行ったのにいつも明るく笑っていたきょうこは凄いぞー」