第10章 実家
その日の夕食は皆でワイワイ言いながら食べた。
その時にやっと信玄様が、アルバムを出して
「申し訳ないことをしました。時間にばかり捕らわれていて……なぜ皆で一緒に写さなかったのかと、後悔しています」
頭を下げた。
「ウェディングアルバムですか……」
父が手に取ると、母と兄も覗き込む。
「まぁ……事情が事情ですし……頭を上げて下さい」
父が声をかける。だけどなかなか頭を上げようとしない信玄さまに今度は兄が声をかけた。
「ここまでキッチリした物を撮るには、皆の時間が揃わないと無理ですよ。良かったらあとで、簡単な家族写真を皆で撮りましょう!」
兄の言葉に救われたかのように、安堵の笑みを溢す信玄様。
だけど母はアルバムを見て……
「信玄君……このままここに居て、モデルで食べていけるんじゃない?」
なんてため息をつきながら、眺めている……
いや、ここは娘のドレス姿も褒めるところじゃ……
「立ち姿がやはり凛々しいですなぁ」
って、父までっ!?
「少し寂しい気もするが……これもまた、二人らしくて いいんじゃないかい?
まぁ……実際にきょうこのウェディング姿なんて見たら、涙でちゃんと見れなかっただろうしなー」
「親父が写真に残ってたら、きったない顔だったんじゃない?」
兄の軽口がまた皆を笑顔にした。そして
「俺、佐助君にも会ってみたいなぁ」
「でしたら直ぐに」
信玄様がさっとスマホを私に渡してくる。
「いやいや、いくらなんでも直ぐには無理ですよ。明日にでも来てもらいましょう」
「いや、佐助なら大丈夫だろう?」
ピンポーーーン
インターホンが鳴った。