第1章 現代
グニャリと視界が歪む中、私は目を必死で凝らし
信玄様の姿を探す……
ここは……きっと、本能寺……
約束した場所にきっと、信玄様が……
あっ!!!
そこには、靄のかかった中でもハッキリとわかるほどに、血の気を失った顔の信玄様がいた!!!
「信玄様っ!!!」
大きな声を上げたつもりだけど、その声が届いたかどうかわからない。
だけど信玄様は、こちらを見ると
「俺の天女……待っていたよ……」
ニコッと力なく頬笑む……
私はその胸に飛び付いた。
ギュッと抱き締めると……以前よりも少し細くなった気がする……
そして、抱き締め返す信玄様の力が……
あまり、入っていない。
私はありったけの力を込めて、信玄様を抱き締めると
「ごめんなさい!お待たせてしまって!」
「君を待つ時間も楽しかったよ……」
ダメ。甘い言葉に惑わされちゃ……
信玄様はかなり……弱っている。
私のために……ううん、私達のために……
信玄様は一人で病と戦っていたんだ!
私は より一層の力を込めて抱き締める。
決して、離れないように……
信玄様っっっ!!!