第9章 ヒメ…ハツジョウサイカイ
「ほら、ニノ!立って!」
「やだー!立てなーい!あるけなーい!」
色んな事があって、久しぶり飲みすぎた俺は結局大野さんと、翔ちゃんに抱えられて帰宅する。
「んふふ♡たのしかったねぇー♡」
「ほら、ニノ。水飲んで」
「のめなーい♡……ぁ、いばさんのっ、ばか!!!」
翔ちゃんがペットボトルの水を俺に渡したのに、振り払う…
「ニノ…」
「…っ、くっ…ば、かっ…あい、ばかっ!!!」
今度は泣き出すオレ……
「ひっく…じゅ、くんが、あいば、さんの、こと、好きだ、って、言ったからっ、オレ、がんばって…それなのにっ、押し付けた、だなんてっ!おれが、じゅ、くんのこと、すきなのっ知ってたのにっ!!」
泣き出した俺の背中を大野さんが優しく撫でる。
「…じゅ、くんもっ、あい、ばさんもっ、好きっ!みんなのことがっ、すきなのっ…その二人が、付き合うならっ、オレは…がまん、するっ」
「俺らも我慢されてるの?」
「ひっく…しょ、ちゃ、ん」
「ニノ?よく聞いて?俺と智くん…本当にニノが好きだよ?」
「…ひ、っく」
「潤が…ニノの気持ち知らなかっただけ。知ってたらこんなことにならなかったよね?」
「…おれが、いくじ、なしっ、だから?」
「そうは言ってない。偉かったと思うよ?潤の事好きなのに、雅紀に譲ったニノは」
「……」
「俺らには、遠慮しないで?とことん甘えていいから」
翔ちゃんが優しく抱き締める。
それまで黙って俺の背中を撫でていた大野さんも後ろから抱き締める。
「潤の事、好きなままでもいいから。ニノが落ち着くまで側にいる」
……困らせてるよね。
わがままし放題だ。
「……俺の事、めちゃくちゃに、だいて?」
今日のことを忘れたくて…自ら服を脱ぐ。
「…気持ちよく、して…ください」
今日のことは…忘れよう。
潤くんへの気持ちも忘れよう。
今日から…大野さんと、翔ちゃんを…
心の底から愛していく。
いや。
2人に……愛されたい。