第8章 ヒメ…ナミダ
俺達3人は毎日と言う程、欲を果たしてた。
毎日毎日……潤くんを忘れようと2人にしがみついてた。
でも…ふとした瞬間、嫌でも潤くんと相葉さんが並んでるのを見てギュッと拳を握りしめる。
「ニノ…飯食べてる?」
食欲なんて…あれから全くない。
そうなると自然と痩せていく…
そんな俺を見兼ねて大野さんが珍しく飯に誘った。
「…食べたくないもん」
「少しでも胃に入れとけ。それだけで違うから」
「お酒だけでいい…」
「ばーか。だから顔色悪いんだよ…ほら?ハンバーグ。好きだろ?」
「…食べたくない」
「いい加減にしろ!」
珍しい…大野さんが怒鳴った。
びくっ!となる。
けど…食べたくないものは仕方ないじゃん!
ふん!っと拗ねる俺。
「…あのな?俺らの仕事は?アイドルだろ?そんなアイドルが顔色悪かったらファンの子も心配するだろ」
…確かに、俺は…アイドルだ。
けど…その前に1人のオトコ。
恋だってする。
「っく…わかっ、てるっ!分かってるよ!けど!!気持ちが追いついてないのっ!周りはどんどん進んでるけど!俺だけっ…あの日のままなのっ…」
やっと……自分の本当の気持ちを口にした。
「…潤くんの事がっ、好きだったからっ…ずっとっ…ずっと!!相葉さんの事も好きっ…大野さんも…翔ちゃんもっ!みんな好きっ!けど…あのふたりが…付き合うなんて、思ってもなかったからっ…おれ、どうしていいか、分かんないよっ」
あの日から…言えなかった事をやっと言えた。
大野さんは黙って聞いてた。
「ねぇ?俺…どうしたらよかったの?潤くんが相葉さんの事好きだって言った日から…俺、相葉さんに対しても冷たくしてたっ…それが、ずっとっ…きになってたっ」
「ニノはさ?相葉ちゃんの事が好きなの?」
「…好きっ。だって…ずっと俺の友達、だもんっ」
「ふふっ…友達、か」
「大野さん達の事もっ…好きっ」
心の中に溜めてた分、全部吐き出したら
グーッ!っと、盛大に鳴る俺のお腹……
「…ほら?とりあえず食え?な?」
「…う、ん」
久々に胃の中に入れた野菜が凄く美味しく感じた。