第11章 ヒメ…ヤリタイホウダイ
大野さんから掴まれてる腕が熱い…。
俺はぐっと唇を噛みしめる。
「ニノ?ニノのこと、嫌いで別れるとかじゃないから」
大野さんが言葉を選ぶように慎重に口を動かす。
「昨日…翔くんとも話て、決めたんだ」
「…きめ、た?」
翔ちゃんは優しく笑ってる…。
「ニノが幸せになるためにはどうしたらいいのか、って」
…今でも幸せなのに。
この人達…何がしたいの…。
「…一度、別れて。また元の俺らに戻ってさ?1からやり直したい…って」
「ニノの事、好きだからね?それだけは忘れないでほしい」
翔ちゃんがギュッと俺を抱きしめる。
…俺の、幸せのため??
腑に落ちなかったけど…2人の意志が固いのが分かって…1度、2人と別れる事になった…。
第2の部屋だったこの部屋。
今月中にみんな出て行くことに…。
この部屋で、色んな経験をした。
この部屋がなかったら…みんなとも関係を持たなかった。
気付いたら…
2人は、この部屋を出て行ってた…。
ここに居るのが辛くていつもの家に帰る毎日。
もちろん…セックスもそれからは誰ともしていない。
1人でする気もなくなってた。
「にーのーちゃーん!!!」
そんなある日…
バカ煩いのがニカッ!と笑って俺の家のチャイムを鳴らした。