【Harry Potter】 Missing Heart
第23章 シングルアゲイン
スネイプはのマグルの世界で生きてきた姿を垣間見たような気がした。はここではホグワーツの学生に過ぎないが、が確かに別の世界で生きてきたことを実感させる。
「君は注射と言うのは出来るのかね?」
「ええ、全てではないですがほとんどできます。」
「採血と言うのは細い血管に針を刺して血をとることらしいが?」
「動脈以外の静脈はできますよ。」
は笑いながら続ける
「スネイプ先生も注射を経験されてみますか?」
「いや、私は遠慮しておく。」
口から魔法薬を摂取することと治癒魔法が主流の医学である魔法界には注射という技法は存在しない。
「君が一度働いている姿を見てみたいものだな。」
「そうですね、私も機会があればぜひ見ていただきたいです。」
はスネイプから目をそらすと少し哀しそうに遠くの壁を見た。
「君はマグルの世界に戻りたいかね?」
そう問われては返事に窮した。しばしの沈黙の後には答えた
「そうですね…、未練がないと言えば嘘になります。」
「・・・君は魔力の制御が出来れば君はマグルの世界に戻ることも出来る。」
その言葉はの心を揺さぶる。
「未来のことはまだ考えていません。今はまだ目の前のことに集中することのみです。」
そう言っては魔法界に留まるか否かは留保した。
「では早くこの場所から卒業することだな。」
「ええ。そのつもりで頑張ります。」
「私は君を早くここから去れるように出来うる限りのバックアップしよう。」
は立ち話もなんだとのことでスネイプに椅子を勧め紅茶を入れる。
「君も成長したものだな、ここに来たときは水を汲んで飲むことだけだったというのに」
「ひとえにスネイプ先生のご指導のおかげですわ。父もスネイプ先生には感謝をお伝えするようにと申しておりました。」
「君の父君は優れた癒者であり医者だ。二つの医学を修めるものはこの魔法界でも彼一人しかいない。彼しか私とダンブルドア校長の命を繋ぎ止める者は誰もいなかった。」
「そうなのですね…マグルの世界にいた時は知りませんでした。」
二人の間に天使が通ったかのように沈黙が支配する。