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【Harry Potter】 Missing Heart

第14章 彷徨う心


更に彼は続ける。


「君は魔法史を学んでいるであろうから知っているだろう。闇の時代の出来事を。そして私が二重スパイをしていたことを。」

「はい、魔法史の授業の中で学びました。」

「当時はポッターが英雄だった。どこにいてももてはやされた。しかしそのポッターの苦労を今私がするとは思わなかった。」

スネイプは苦く笑った。

「君はなぜ私がホグワーツの教師に戻ったと思うかね。ここは良くも悪くも閉鎖され保護された空間だ。世間から隔離される。静かに余生を過ごせると思っていたのだが・・・そうは行かなかったようだ。」

(心に傷のある者が世間の好奇の視線に晒されるのは耐えがたい)


には聞こえぬ彼の声。

(自分は臆病になったものだ。)

ハリーポッターとその学友。不死鳥の騎士団の人間のみが知るスネイプの過去の後悔と罪と愛。はその過去を知らない。スネイプの過去と罪、そしてハリーポッターを生命を賭してでも守り切ったという事実は恐らくどこの本屋でも伝記として手に入るしホグワーツの図書室でも読もうならば読めるだろう。だが、その奥にある愛の事実は公に厳に伏せられている。


「スネイプ先生ほどの方が、そのようなことを言われるとは思いも寄りませんでした。
まるで世捨て人のようなことをおっしゃる。」

「世捨て人とな、今の私にとっては一番適切な呼び方だな。」

「まだそのようなことを言われるほどのご年齢でもないでしょう。」いつもであれば勉強に関すること以外は殆ど口にすることのないスネイプだが今日は良く話をする。

「君と比べれば年だ今年で46歳になる。君はまだ28歳だろう。まだ若い。」
「私もここの大半の学生よりはずいぶんと年ですよ?」
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