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Nerine-ネリネ-

第5章 月




自室に近付くと、障子から漏れる明かりはなく。巴は帰っていったようだ。
障子を開け、電気を着けて山姥切が入ったのを見て閉める。

部屋の中の椅子は、机の下に収納できるキャスター付きが1つ。部屋の奥側には敷かれた布団。障子側は畳。机は壁際、勉強机ほどの大きさ。
布団に座るのも、椅子に座るのも躊躇われたので、長谷部の時のように畳に座った。距離感は長谷部ほどじゃないけれど、山姥切も対面してあぐらではなく、正座になった。
状況的に真面目な話のようだけれど(山姥切ってなんだか冗談言わなそうだし…)可愛いけれど着ているスウェットが少し恥ずかしくなってきた。

…直で座るの、足痛くなりそうだし座布団とか、あとで用意しよう。
一呼吸して、山姥切が先に口を開いた。

「初期刀や近侍について、3日ほどあれば決められそうか?」

決める時間を急かしているわけじゃない。けれども、何かの焦りを感じる。少しだけ、前のめりだけれども、声は至って冷静に聞こえる。

「そのことなんだけど、初期刀については決まってる。けれども、近侍についてはまだ……、」

全員の名前も性格も、まだ覚えられていない。
今の時点で近侍を任せられそうなのって、長谷部や巴かな、と直感ではそう思える。
薬研や大倶利伽羅もしっかりしていそうだ。まず、最初に近侍に選ぶとしたら基礎中の基礎を教えてもらいながら、私がするべきことをサポート出来る人を選びたい。

近侍について、頭の中でぐるぐると名前を並べては引っ込めてを繰り返していると、山姥切が目を反らした。

「それで…近侍はともかく、初期刀は決まったんだな?」


「そう!」

これだけは私も同意した。
勿論、山姥切から初期刀に選んでほしいと言われた事も、燭台切達が部屋で話していた、先代の審神者達が選んでいたという事もある。
初期刀って、最初に出会った刀なんでしょう?だったら、私は夢の中で何度も出会っている。助けられている。

私は両手を、正座をする山姥切の足に置いた。


「初期刀は山姥切国広、キミがいい」


何代も続いたであろう、ここの本丸。
その何代も替わったであろう、審神者。
主にいつも選ばれていただろう、山姥切。
山姥切は当然とも表情に出すことはなく、少し驚いた表情をした。
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