第4章 最初の晩餐
敷布団が敷かれている。その上にきちんと畳まれた服の塔。ジーパンから上着から、靴下や下着まである…。
ふと、下着のタグを見ると普段遣いのサイズと一緒だった。ぴったりなのは良い、良いけど…恥ずかしいぞこれ。
ブラジャーを両手でつまんでびょんびょんと、心の声を押し殺しながらやつあたりする。
「その場の、満場一致だったんだが……、」
「ありがとう、ゴザイマス…」
戴いて贅沢は言えない。家の私物持ってこれないし。しかし刀剣男士の好みを着なくてはいけないのか…何故私が今日、女子と見間違えたメンバーではなかったのか。
せめて、せめて色付きが良かったな、と思いながらも替えの下着と寝間着になりえそうなものを探す。
「ふむ、主の好みを知りたい…、後日偽名を決めて外出しよう」
…それも恥ずかしいわ。
タンスにしまっておくから湯浴みに行くと良い、と巴は私の部屋に残った。
タンスに入れるから上着とか分けて置いていたのか…と納得し、ありがとうと伝えて机の上にある歯ブラシも持ってその場を後にした。
洗面所がたくさん設置された廊下の先に、左右に引き戸が設置され、磨りガラスがドア中央にはまっている。
不動の案内では、右側が主で左は刀剣男士と言っていたな、と右側の引き戸を開けた。
ガララ。
視線の先にはピンクの跳ね毛の体格の良い刀剣男士が、仁王立ちしてこちらを向いていた。全て丸出しの、全裸で。名札がないので、名前が分からない。
「主も、脱ぎまショウか?「間違えました!!」」
ガラピシャ!乱暴に閉める。
んん、初日から覗きだなんてやばいやつじゃない?不動が間違っていたのかな?酔って忘れたとか。
じゃあ、こっちか。
ガラララ。
何名も刀剣男士が居た。全員を確認する前にすぐ閉めた。不動と御手杵と、髪の長い緑っぽい色と…何名か居た。
ドア越しに「右って言ったろ、右って!助平!」と叫ぶ不動。
「右っ、右も誰か入ってるのっ!」
誰がスケベじゃ!と続けてつっこむ。
中でちょっと待ってろ、と誰かの声がしてすぐに出てきたのは…大倶利伽羅という、小麦肌の兄ちゃん。
出てきてすぐとなりの脱衣所を一気に開ける。
「大倶利伽羅も一緒に脱ぎまショウ!」
「お前はこっちだ、村正」
村正の服を抱え、全裸の村正の背を片手で押す。
私は片手で自分の目元を隠した。一回見てしまったけれど。