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Nerine-ネリネ-

第4章 最初の晩餐



焼き魚や煮物、小鉢のお浸し、汁物…机の中央には大皿に揚げ物等があって、どのおかずに箸を伸ばしても美味しい。手間がかかっているだろうに、一切手を抜いていない…そう、スーパーのお惣菜じゃない、高級料亭の味だ!いや、行ったことないけれど。

「めっちゃ美味しい……」


「主様、大絶賛ですね…頬がハムちゃんみたいですよ。燭台切さん達喜びますね!」


五虎退が唐揚げを虎に狙われながら言う。彼の周りには自分たち用の容器に顔を突っ込む子、唐揚げを狙う子が居て食事も大変そうだ…。
こう見ていると、狐やら亀やらペット連れも多いなぁ…

食事も終盤に入ってくると、先代の武勇伝の話が飛び交う。


「兼さんが主さんと喧嘩した時の話なんですけど、怒った主さんが本丸を現代モダン住宅に変えてしまったんですよ!」

堀川くん曰く、その後力を一気に使った反動で3日ほど熱出して寝込んで、モダン住宅に変わってから1週間はその住宅で過ごしたという話。


「俺と主と小狐丸でいなり寿司をつまみ食いした時に、顔パンパンになるほど頬張って、歌仙に見つかった時の顔ったらなぁ!歌仙」

鶴丸が歌仙に話を振れば、咳払いをして歌仙は「その話はやめないか?」と。(真っ赤になって追いかけてきた歌仙は、面白かったのか吹き出してその場に崩れ、つまみ食い犯は逃げ切ったというオチ)


おばあちゃんもやんちゃな時があったんだなぁ、と思い、神隠しされた後の人生はきっと楽しくすごせたんだな、と楽しそうに語らう彼らの表情をみて思った。
賑やかな夕餉も終わり、お風呂に入るために私は自室へと戻ることにした。

賑やかな大広間を背にして、夜桜が視界に入る。
昨日までの私なら家で寝ている所だっただろうな。
廊下に向き直り、自室の障子から明かりが漏れているのに、不審に思った。

そっと障子を開けようとすると、むしろ内側から障子が開いた。

「おや、主か。新しい寝具と身の回りのものを用意させて頂いた」

ともえ、さんね。
巴は白く(鶴丸より派手で)背が高く。廊下側が暗いのでちょっと名札が見づらくて。
自室を巴ごしに覗く。

「前の主の予言で、必要な物のサイズは分かったものの好みなどは分からなくてな。その場に居た薬研と山姥切と相談はしたんだが、気に入らなかったら後日、買いに行くと良い」

私はその言葉を聞きながら、室内に歩を進めた。
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