第4章 最初の晩餐
「おばあちゃんも山姥切を初期刀にしたの!?」
だから、亡くなる前に、最期の最期におばあちゃんは山姥切に託していたのか…!
悔しそうにする長谷部と、少し思い出に浸るような遠い目をした鶴丸。
「きみのおばあちゃん、ねぇ。何度も主が変わろうが山姥切なんだ。恒例…、山姥切以外になってしまったらこの本丸が変わってしまいそうだなぁ?」
初期刀は諦めろ、と長谷部の肩を叩いて鶴丸はさてと、と部屋を去る。燭台切が小さく、「歌仙くんところにつまみ食いに行ったね…」と、呟いた。
「何を決めるにしろ、皆の名前を知らなくてはいけないでしょ?だから、僕たち以外の皆にも名札を着けてって呼びかけてあるんだ。皆が待っている大広間に行こう!
そろそろ僕も戻らないと歌仙くんが待ってるしね!」
持ってきたお盆を持って燭台切は立ち上がる。それを見て私も立ち上がり、長谷部が立つのを待ってから部屋の電気を消した。
縁側や廊下を移動し大広間が近付くにつれ、賑やかな声は大きくなる。
本丸周辺に家があるかは知らないけれど、宴会場のように騒がしい。
「結構賑やかだねー…」
大広間に入ると、主だ主だとあちこちから声が聞こえる。慕われるほどの業績も残していないし、まだ審神者として新米だから、主としての自信はない。
「ハルカちゃんはここで皆と待っているんだよ、僕は皆が満足する美味しい料理を作ってくるからね!
長谷部くんはこっちで手伝って!」
わかった、と燭台切に付いていく長谷部。
大広間はお座敷で、座布団がたくさん並び、塗り箸が箸置きに置かれた状態でこれまた並んでいる。
さて、私はどこに座ろう?と周りを見ていると、これまた個性的なチームがあちこちに見える。
粟田口多めの、少年少女。高校生くらいのかたまり。しずかな3人に、体格の良いチーム、いかにも和のかたまり。言い出したらキリがないくらいに個性が出ていた。中には既に酔ってる所もある…。
言葉も交わしていたし、粟田口兄弟の集まる席に座った。
「主様、主様!きっと、主様は前の主様の事が気になると思って、僕たちで前の主様との思い出をお話したいと思うんですが…」
五虎退の虎が私の膝に一匹乗って寛ぎ始める。虎はぐるんっと腹を天井に向けた。
もう、これ…私は動くことが許されないやつだ…腹の毛がふわっふわ…!