第6章 記憶の中に 旧多二福《幼少期》
「泣もしねえ喘ぎもしねえまるで人形みたいだな」
「死ねよ、お前目障りなんだよ」
「父親も母親もいねえ癖に居座り続けて叔父様に可愛がられて体が弱いからって良い気になってるんだろ」
見たくなかった。
知りたくなかった。
でもあの日行かなかったら彼女はどうなっていただろうか?
すぐに部屋に戻って叔父様を起こした。
もちろん彼らには刑罰が下り、追放されたが彼女の体の傷が消えることはない。
「痛い、痛かったよね、ぼく、もっと、早く行けば」
「大丈夫、大丈夫だから、心配しないで、二福」
彼女の事は全然知らなかった。
誕生日もすきなものもきらいなものも_
両親が心中したことも
和修五十嵐家は才こそ優秀であったが、その分体の弱い者が多かった。
そのせいで嫉妬した他の和修分家の者から捌け口にされたり、暴力的に蹂躙しようとする輩も多かった。
体の弱いせいで周りから酷く扱われていたことは間違いない。
耐えかねた両親が子供共々心中しようとしたが運良く彼女は生き延びてしまった。
そのせいで親の分まで大人に酷使され、こんな目にあったのだと。
本人が教えてくれた。