第6章 記憶の中に 旧多二福《幼少期》
彼女を初めて見たのはいつだっただろうか。
まだ小さい頃、まだ自分自身の家計の事など知らなかった頃。
記憶は曖昧だが年の近い子供同士を合わせるのは親同士よくあること、彼女は一人の男性に連れて来られた。
「レイです。よろしくお願いします」
自分より多分少し年上で色白で細身の美人な彼女は少し気が弱くて体も体質なのか、少し軟弱で。
でも優しくて、少し甘い彼女の匂いが心地よかった。
一緒にいたくて。
だから軟弱でいつもお部屋に居続けさせられている彼女を毎日のように連れ出して。
リゼとよく三人でいた覚えがある。
幼い頃は。
「今日もレイは来ないの?」
「あぁ、都合が悪いそうだ」
毎日の様にリゼと叔父が繰り返す会話に少なからず疑問が湧いていた。
「レイも子産みなの?」
「そうよ」
「明日は来るかな」
「来るといいわね...お稽古はちゃんと出てるみたいなんだけど...」
結局彼女はその後も来なくて、ずっと二人で心配していた。
でも、ある日に僕は家のことを知って、レイもこの事を知ってるから来れなくなったんじゃないかって、夜、内緒で彼女の所に行った。