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ゆめのはこ【短編集】

第2章 甘美なこころ 大倉燁子


だからこそ燁子は彼女から余計に目が離せなくなってしまう。

見た目よりかはなかなか芯のある掴み所のない性格だが彼女ほど見目麗しい美少女(と言うには少し歳が行き過ぎているが)を只々崇め讃え続ける者達など信用ならない。

人間の心理とは実に不可解だ。
どんな人間であっても"永遠"を手にすることはできない。
彼女もまた然り。
永遠と崇め讃え続けるだけで心が休まるとは到底思えない。
いつ彼女に災難が降りかかるか、そう心配する面すらあった。

まあ、どのみち彼女に敵う相手など片手間に指を折る程しか存在しないのだが。

其れらも加え、要するに、ただ彼女を側に置きたかった。
国家の犬と呼ばれる自分達に安息などほぼほぼ無いに等しい。
せめて自身の親友くらいそばに置いてもいいのではないのだろうか。


友人と呼ぶには些か曖昧な、少し悩んでいる部分もある。
彼女とは確かに仲がいい。
だが只仲がいい、という言葉で片付いてしまうのに対して燁子は少しばかり気を落としていた。
そしてその感情に対して燁子自身が一番驚いていた。
このような想いをするのは初めてであったし、聡明な燁子自身もよくわからないままなのだが_
なんにせよ

「隊長と恋人なり婚約者なり、そうなればよいのじゃがのう...」


そうなれば隊長権限で適当に理由でもつけて彼女の所属をこの部隊に移動させてもらえるのに。
呟きに反してその表情は悪戯を思いついた子供のよう。
彼女の実績も戦績もここの部隊に劣ることは無いだろう。
目先で厚い資料であろう物を見せては微笑み、説明する彼女とそれを覗き込んでは賞賛の言葉を彼女へと発する福地にそんな呟きを漏らした。



「それなら直接言えばいいではないですか」



突如後ろで呟かれた言葉に燁子が振り向く。
そこには尋問の達人こと条野採菊が平然と立っており。
それを目にした途端輝子は打って変わって険悪な表情を浮かべた。
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