第2章 【燭さに】夜空に浮かぶ太陽
テラス席じゃなくても窓からは海が綺麗に見える、なるほどこれは良いな。
こんなに素敵なお店なのに確かに私以外のお客さんがいない、なんでだろう...お兄さんもイケメンだしお客さん増えそうなのにな。
***
「...ふぅ」
さっきも言ったけれど、何で本当にお客さん来ないんだろうか。
結果的に言うと、空腹に負けた私はケーキより先にランチを頂いた。それがめちゃくちゃ美味しかったのだ。このランチも日替わりでお兄さんがせっせと作ってくれている。口コミとかSNSで広まれば瞬く間に有名店になるだろう。
...まあ、雰囲気的に本当に困っているようには見えないし私がそこまで考える必要は無いんだろうけれど。
何より、この静かで居心地の良い空間が騒がしくなってしまうのはなんだか違うなあと思ってしまった。
「お待たせしました」
色々と考えていると、お兄さんがケーキと紅茶を持って来てくれた。紅茶はセットになると聞いて迷わずお願いしてしまったよね...。
チーズケーキはレアかベイクドか、悩みに悩んだ挙句決められずに唸っていると、お兄さんが笑いながら小さくカットして両方乗せてくれるとの事で思わずそのお言葉に甘えてしまった。
そしてやっぱりケーキもめちゃくちゃ美味しい。
夢中になって食べているとまた、笑い声が聞こえて来た。私は今日何度笑わせたのだろう、いや、面白がらせるつもりは一切ないのだけれど。チラリと盗み見ると割と近い位置にいたのか目が合ってしまった。
「ご、ごめんね、笑ったりして...失礼だったね」
「あ、いや、別に...」
睨まれたと思われてしまったのかな、お兄さんはまた眉を八の字にして申し訳なさそうにしている。誤解をされてしまっては私も居心地が悪くなってしまうので正直に話した。
「ちょっと、恥ずかしかっただけなので...」
「...うん、僕も面白がった訳ではないんだ 」
「ただ...君の表情がくるくる変わるのを見て...安心したんだよ」
「え?」
思わぬ言葉だった。安心した...とは?
心配をかけるような事をしたかと思い直しても、何より私達は初対面でお互いどういう人か、何があったかなんて知らないはずで。私はただ海を見に来ただけだったのだから。
...本当に『見に来た』のかと問われるとちょっと困ってしまうけれど。
