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【とうらぶ】刀さに色々 【短編集】

第2章 【燭さに】夜空に浮かぶ太陽



この人は、どこまで優しいのだろう。
ただの見ず知らずの私にも、心を配ってくれるだなんて。きっと本当に、色々な面で余裕があるのだろう、毎日が充実しているんだろうな。
私はこんな風になれるだろうか、僻んだり自分を卑下したりするつもりは無いけれど...今のままではきっと難しい。

「...自分を保って、周りも見れて...優しくできてって...すごいなあ...」
「......」

しまった、思わずボロっと零してしまった。
ああこれでは困らせてしまうじゃないか...そう思って弁解しようと俯いていた顔を上げるとパチリと目が合った。
今まで近くでまじまじと見ていなかったから気にしていなかったけれど、改めて見るとお兄さんの目は色素が薄く...蜂蜜を混ぜたような綺麗な金色だった。青みがかった黒髪と相まって、まるで夜空に浮かぶ星みたいだ。

「大丈夫だよ」

さっきまで、お節介だったかなと不安げにしていたのに。掛けられた言葉と同時に見せた表情は、とても柔らかな笑顔だった。

「君なら大丈夫」
「...言い切りましたね...」
「ああ、だって君は突然話しかけた僕のお誘いを受けてくれたしね!」
「それだけでですか...」
「それだけで充分だろう?」

にっこりと深くした笑みは、お日様みたいにあったかかった。思わず私も釣られて笑う。

「...やっと、笑ったね」

冷えきっていた心が温まっていく気がした。


「ご馳走様でした」
「ありがとうございました、またおいで」
「はい」

笑顔で見送ってくれるお兄さんに、笑顔で応える。...ちゃんと、笑えていただろうか、まだぎこちないかも知れない。
根本的に何かが劇的に解決した訳では無いけれどそれでも、この海での出会いは私にとって大きなものだったと思う。
来た時に感じていたものは、もう私の中には無かった。


**


そしてその後、私はこのお店の常連となり.....カフェを共有しているお兄さんのお友達の2人とも出会うことになるのだが、それはまた別の機会に。


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