第2章 【燭さに】夜空に浮かぶ太陽
「海を見ているようで...見ていないなって思ってね...」
なんて思っていれば、そこをまんまと見抜かれていたらしい。
ここで長いことカフェを営んでいるけど、君のような子が海岸に来たのは初めてだと言われた。
この海は、シーズンになると遊びに来る人たちで賑わう。オフシーズンでも散歩に来る人たちもいる。言わばサーファーにとってはシーズンもオフも関係ない。要は、海を楽しみに来る人達が殆どだ。そんな中で現れた私は、海が別段好きなわけではなく一人になれる場所があればどこでも良かった。
眺めているようで、眺めていなかった。
ずっとずっと、心ここに在らず、だったのだ。
「お店が暇だって言うのは、半分口実だったんだ」
元からそんなに人の入りがある訳ではなく、お休みも不定期の自由気ままなお店で、それでもゆったりと営むスタイルが自分には合っていたんだ、とお兄さんは笑った。
カフェは仲間内で共有している趣味の延長線上で出来上がったもので、日によっては違うスタッフも来る場合があるらしい。
今日はたまたま、お兄さんがお店を開けた日。
「気ままに店を開けて、お客さんが来ない時はテラスで海を見たり、本を読んだりね」
採算よりは自分たちが楽しむ為のものでもあるのかなあ、私には到底考えつかない事だけれどきっとこうなるに至ったそれなりの理由もあるんだろう。
「今日もテラスで海を見ていたら、君を見つけてね...普段来る人たちとは雰囲気が違うから...気になったんだ」
そんなに様子がおかしかっただろうか。
いくら色々と疲れていたとしても、別に全部を捨てる...所謂自殺を考えていたわけでもなかった。ただただ静かな場所に逃げたかった。
「それに、ずっと長いことあの堤防から動かないから...心配になってしまってね」
...ああでも、だからだったのかな
日常から無意識に逃げてくるくらい疲弊していたのなら自分の状態を冷静に客観視など出来ない。
傍から見たらきっと危ういものだったんだろう。
そんな私がランチもケーキも綺麗に平らげた様はさぞかしお兄さんを安心させたに違いない。
「...なんか、すみません」
「えっ、あ、いいんだよ!僕もお節介だったかなって...」