【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第44章 呪術廻戦✿真人「人間の女の子」
と真人は質問を繰り返しながらお互いの正体を確かめていった。呪いとは何なのか。男女の関係があったのか。殺人を繰り返しているのか。特別な誰かだったのか。どうして人間を殺すのか。他に大切な人間はいるのかどうか…等。
「私を口説いてるんですか」
『どういうこと?』
「初対面の相手に人間関係を聞くのは極めて高度なことだと思ったからです」
『他には?』
「人殺しが好きな貴方に、私の周囲を探る理由が分からないからです」
『ウン。それもそうだね』
目的を伝えてもいないし、自分の意志のままに従わせたいと思われても仕方ないかもしれない。
『俺の目的は"人間の女の子と付き合いたい"っていうほんの小さな恋物語って所』
「………理解に苦しみます」
『俺は人から産まれた呪いだから他の呪霊より人間に興味が沸いてるんだ。ただソコに殺したい本能があって、肉体とは違って魂は何度でも殺せるから……。ここまで言えば君にも分かるよね?』
理解したからこそは難しい顔になった。この子の魂は何度でも殺せる、壊れるまで殺したい──…真人はそう企んだ。
『それより。いつまで彼の手を握っているの?』
「貴方がまだ彼は残っているといったからです」
『そんな見た目でも?』
「私は目の前でみました。彼は彼です」
『さっきの君くらいの女の子は逃げようとした。君はそれほど彼のことが大切なの? 逆だったら自分の命を秤にかけて逃げていたかもしれないのに』
「仮にそうだったとしても私がそうしたいからそうしているんです」
『でも彼はもう死んでる。彼には君の声は届いていない』
「知ってます」
『場所を変えよう。今日から俺が"新しいカレシ"だ』
真人が腰を上げるとゆっくりだが取り乱すことなく、も立ち上がる。男の手を屈んで丁寧に置くと、離れ際にはようやく人間らしい涙をみせた。
それは止めどなく静かに、誰も責めることなく、ただ生まれたばかりの滴が次々と溢れ出ていた。