【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第44章 呪術廻戦✿真人「人間の女の子」
「やっぱ最後のアレがまずかったよなー。調子に乗り過ぎたッ」
男の背丈は真人と同じくらい。
「■■君いつも以上にノリノリだったけど相手も同じくらいノリノリだったんだと思う。見てる私は心躍る試合だったけど■■君はそうじゃなかった?」
イチャイチャするカップルとは違い、楽しそうに会話を弾ませるカップルだと思った。
でも今日が君達の命日。
「いいや。俺も同じ。久々にワクワクした!!次やった時はゼッテー勝つ!!」
「私も全力で応援するっ!でもやっぱり悔し……──」
「ん。どうした?」
若い女は急に立ち止まり辺りをキョロキョロし出した。背後にいる手を伸ばしかけた真人の姿は見えていない。
「なんかいたか?」
「うーん……どうなんだろ。耳鳴りみたいのがする」
「まあ夜の公園だしな。なに出ても可笑しくない…」
「もうっ!神妙な顔して言わないでっ」
「悪ぃ悪ぃ。強盗くらいなら何とかできるけど、幽霊なんかは何も出来ないからな。家帰って早く寝ようぜっ!」
"無為転変"
「うん!そう…だ……ね…」
隣りにいる男の顔面が崩壊して目を見開く女。生きている人間とは思えない造形の芸術作品。
『あ…!君の瞳に俺も映ってる。気に入ってくれた?』
「……………」
若い女の瞳孔がぎこちなく真人のみを映し出す。しっかりと見詰め合うと真人は目を細め、ゆっくりと女の口が此方側を問い質した。
「彼に、何したんですか」
『魂に触れて肉体を改造した』
「改造した…ということは魂は…」
『人間の頃の自我は僅かに残ってる。俺の質問にも答えてよ』
視線を落とした彼女はまだ崩壊していない男の、人間らしい手をそっと握る。
「……この"人でなし"」
貶して憎むような視線。
嗚呼コレはたまらない。
『あはは。だって俺…"呪い"だからね。君、名前は?』
「…」
『俺は真人。立ち話もなんだからあそこのベンチに座ろうよ』
つい数分前に人間を殺したベンチを指差した。