【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第43章 呪術廻戦✿禪院直哉「性悪男」
片付けの最中使用人から声が掛かり、夕食の席で顔合わせが行われた。直哉のほかにも兄弟がおり、なぜ一番年下の直哉が次期当主を名乗ったのだろうと疑問に思うも口にはせず。
(いい匂いなのに食欲全然ない……)
一人分ずつ小分けに並べられた彩のよい食膳。残しては失礼だと思い、咀嚼と嚥下を繰り返す。直毘人は日本酒を片手に振舞っており、は絡まれないように目を合わせず、ただ黙々と口の中がカラになればまた料理を頬張った。
やっとのことで全ての料理を平らげると食器は自分で下げなくてよいと言われた。お風呂場に案内されて体を洗い、用意された浴衣のような寝巻きに袖を通して思い出す。
(そう言えばあの人の部屋知らないや……)
家族を紹介された時、関わりたくNo.1は断トツで直哉の名があがった。理由はあり過ぎて以下省略。そもそも父親以外と異性との接点がないにとって男という存在は大きなハードルであり、行けない理由があるなら丁度良いと思うことにした。
「はあ……」
「様」
「はひぃっ!」
温まった体で廊下に出ると陰に隠れていた使用人に声を掛けられヘンな声が出てしまった。溜息を聞かれただろうかと内心ヒヤヒヤしたものの使用人は全く気にしない様子で言葉を続けた。
「直哉様がお呼びです。ご案内いたします」
「あ、はい……」
どうやら相手の方が一枚上手であり、はがっかり肩を落とす。理由なくして逃げることも出来ず、長い廊下の先にあった部屋の前で足を止める。
直哉は特別扱いされているのか、異様なほど物音や人の気配が感じられなかった。
(このお屋敷、どれくらいあるんだろう……)
迷子になると思ったのと同時に自室の戻り方を尋ねようとしたら、せっかちにも主の名前が先に呼ばれてしまう。
「直哉様。様がお見えになりました」
「入ってええで」
「どうぞ」
使用人が襖を引くなり、敷布団の上で片肘を突いて寝そべっていた直哉の姿が目に入った。書生服から同じような寝巻きを着ており、淡いオレンジ色の行灯が風情のある部屋の中を照らしていた。