【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
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「それじゃあ父さん、母さん。行ってくるよ」
両親の異論も心配もなかった。寧ろ快く送り出して応援することが息子の為だと思っており、それに応えるように傑は笑みを浮かべて家を出る。必要な荷物は先に高専へと送り、残りの貴重品だけを背負って高専の門を潜る。
黒スーツによれば同級生は三人。
そのうち二人は術師家系出身でさらに言うなら呪術界を背負う御三家の一人がいると聞いていた。自分より遥かに強いのか比べるに値しないのか、はたまた同等の何か。期待は余りしていなかった。
ガラガラ…
「けほっ…」
時代の趣がある少し重たい教室扉を開けると喫煙臭。窓側に座る同い年くらいの女の子。手に持っているニオイの原因。
「はじめまして。此処が一年生の教室であっているかな」
「あってるよー」
「そうか、ありがとう。私は夏油傑。君も高専へ来るのは初めてかい?」
「そうそう。家入硝子。しくよろー」
「此方こそ宜しく。あと二人いるようだけどまだ来てないみたいだね」
「らしいねー。名門子息っていう話だけど吸う?」
「いや、私はいいよ」
「なんだ。欲しそうに見てたのに」
そう言って未成年者にも拘らず硝子という女の子は煙を吹かす。雰囲気から見てわかる。自分が諭したところで全く響かない肝が据わった態度。
教室で待つこと数十分。
廊下側の方から若干揉めているような男女の声が聞こえてきた。足音が止まると手前には小柄な女の子、その後ろにはバンッ!と扉を勢いよく開けたと思われる長身白髪の男。目がぶつかるや否や丸形サングラスの向こうから挑発的な視線を浴びる。
「あっ……!!男の子と女の子…」
視線を自分から外すことは負けを認めることと同じ気がして逸らさずにいると手前にいた女の子が声を上げ、つい視線を落とす。緊張しているのか、照れているのか頬っぺたが桜色に染まっていた。
「へえー、デカい奴いんじゃん。いくつ?」
「ちょ。悟、重い」
「ちょうど良い顎置きだからなーここ」
二人は随分親しそうな間柄のようで悟と呼ばれた男はしつこく女の子にちょっかいを出し、傑は何となく仲の良さを見せ付けられているのではと察した。