【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第42章 呪術廻戦✿五条悟+夏油傑~3LDKふたりの居候~
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「弱い者イジメはもうするなよ」
1990年2月3日。非術師家系に生まれた夏油傑は、普通の人には見えないモノ(呪霊)が視認できるほど呪力を持っていることに気が付いた。
「怪我は?一人で立てるかい?」
「っ、ほっといてください……!!」
他人は見て見ぬふりをして不良に絡まれている少年を助けたが迷惑だと言わんばかりの強気な態度。その態度をアイツらに示せばいいのにと思いつつ、逆らえばどうなるか分かっているから歯向かえない。傑はさっと笑みを浮かべた。
「擦り傷があるみたいだから家に帰って早く消毒しなよ。じゃあ私はこれで」
余計なことをしたつもりはない。たまたま目について困っていて助けを求めていると思ったから当たり前のことをした。強者が弱者を助けるのは自然の摂理であり、本当に強い人間は弱い者をイジメない。だからこの腐った掃き溜めも本物の強者が分別と受容しなければならない。
ゴクッ…
取り込んでも取り込んでも終わらないマラソンゲーム。美しい花が咲き、それを過ぎれば枯れ落ちて、口にすれば吐瀉物を処理した雑巾の味がする。
そこへ高専関係者と名乗る黒スーツが話し掛けてきた。
「呪術高等専門学校……」
薄々自分と同じ力を持つ人間がいることには気付いていた。でなければ矛盾した日常や世界を目にしており、自ら探さなくても必要あれば向こうから接触してくる。その間、自分にやれることをやればいいと呪いを取り込み続けた。
高専は表向きは私立の宗教系学校を装っており、日本に二校(東京・京都)しか存在しない呪術教育機関のひとつ。日本人口の0.01%も満たない術師が高専を拠点として活動しており、呪霊は視認できるが術式の会得・熟練できない者は任務の斡旋やサポートに徹し、傑のように術式を扱える者は呪霊のレベルによって任務や階級分けされている実情を知る。
高専の運用は公費だと知ったことで納得し、傑は迷うことなく高専入学を決断した。